猫の恩返し.....。
「猫爺さん」である父は家猫4匹以外に、野良ちゃん達の世話もしています。
家の前の駐輪場の片隅にある、小さな小屋がその拠点です。
野良ちゃん達はそこで食事をしたり、寒い日は小屋の中で眠ります。
特に極寒の今の時期は、使い捨てカイロまで常備されていますから
かなり居心地は良いはず.....。
とはいえ、家猫と違って外で暮らす猫達の生活はやはり過酷です...。
今、父が面倒をみている野良ちゃんは、「タロキチ」「ジロウ」「ミカ」
の3匹ですがつい先日も、腎不全と極度の貧血により1匹亡くなったばかり
だそうです。
父がこうして野良ちゃん達の世話をすることを、私も全面的に賛成を
しているわけではありません。
個人がボランティアとしてやるには少し限界を越えていると思うし
近隣とのトラブル、また共に暮らす母のストレスも無いとは言えません。
何か解決策はないかなと思い、私も地域のボランティア団体へ参加した
こともありますが、集団になると行政への働きかけや保護活動の一般
への周知など、やり易くなることがあるのも確かですが
やはり基本は個人の負担で成り立っているのが現状であり
保護活動の難しさを改めて考えさせられました。
話が横道に逸れましたが、過酷な環境で生きている野良ちゃん達ですので
父が世話をする数も常に変化しています。
病気で亡くなる子、車に轢かれてしまう子....家猫に比べはるかに短い猫生
を終えていき数が減る時もあれば、野良ちゃんがどこかで子供を産み
子連れで突然現れたり、心ない人がこっそり置き去りにしていくこともあります。
先日ロシアンブルーの子猫が置き去りにされたそうです。
目の具合が悪く、雄雌も判断がつかなかったので(里親探しのためには必要なので)
父が病院へ連れて行くと、獣医の先生が知り合いの裕福な患者さんへ連絡してくれて
一気に里親が決まったそうです....。
「人間も猫も器量が良いと違うね..」と思わず母と笑ってしまいました。
また昨年夏の話ですが、突然父が入院してしまいました。
病名は「肺血栓塞栓症」。
心臓から肺へ血液を運ぶ血管である肺動脈に、血液の塊が詰まり、肺動脈の流れが
悪くなったり閉塞してしまう病気です。
いつも通り猫達の世話をしていて、猛烈な息苦しさに変だなと思って
自転車で近所の大学病院まで行き、そのまま即入院...。
血栓が完全に詰まってしまった時点で、大変危険な状態に陥るので
酸素吸入器を装着し、トイレへ行くことも許されず絶対安静です。
しかしそんな状況でも、父は残して来た猫達のことが気になって仕方がありません。
「猫の世話をしなきゃいけないから、外出させてくれ」と主治医の先生に
お願いしたそうです。もちろん許可されませんでしたが.....。
後からこの話を聞いて、さすがに私もあきれてしまいました....。
その日から「猫爺さん」の役目は母にまわって来ました。
父はこと細かに「クマキチには○○の缶詰めを...。ジロウには××のカリカリを...。」
とその子の嗜好に合わせたご飯をあげるように、病室で母に細かく指示しています..。
全くあきれる筋金入りの「猫爺さん」です.....。
入院している父の世話をしながら、家猫4匹と野良ちゃん達のお世話まで
するのは大変。
増して非常に暑い時期でしたので、今度は母が倒れてしまうのではないかと
ホントに心配でした....。
その時いた野良ちゃんの中に「ボロ雑巾」と呼ばれている子がいました。
見たままの全くひどい名前ですが、かなり弱ってボロボロな状態で
父の猫小屋に辿り着いたのです。
かなりお腹を空かせていたようで、ガツガツとものスゴい食べっぷり...。
父は入院中ずっと「ボロ雑巾は大丈夫か?」と気にかけていました。
娘の私としては「あなたこそ大丈夫!お父さん!」と言いたい気持ちでしたが....。
しかし、とても残念なことに「ボロ雑巾」は父が入院して1週間後
猫小屋の前で冷たくなっていました.....。
近所の人が母に知らせてくれたそうです。
母は亡骸をダンボールに移し、業者に埋葬をお願いしました。
今は川崎にあるペットを供養してくれるお寺に眠っています。
いつもは「猫爺さん」と猫達について私に愚痴ばかりこぼす母ですがこの時は
「ボロ雑巾がお父さんの身代わりになってくれたような気がしてね」
と突然言いました。
確かにその頃から父の容態は好転し、3週間程度で退院できるようになったのです。
もちろん単なる偶然ですが、過酷な猫生を歩んだ「ボロ雑巾」が
最後に辿り着いた父の猫小屋で、わずかな和やかな時間を過ごし
身をもってその恩返しをしてくれたように私も思え、心の中で合掌しました。
いつも冗談で「お父さんが三途の川を渡る時は対岸にものスゴい数の
猫がお出迎えしてくれているね!」と言っていますが
きっとその中に「ボロ雑巾」も混ざっていることでしょう....。
気がつけば、とても長い記事になってしまいました。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
また前記事も含め父に暖かいコメントを、ホントにありがとうございます。
皆様からのお言葉は有り難く父に伝えております。
とても励まされ喜んでおりました!
実家で蝶よ花よと溺愛されていた時のミーです...。3ヶ月位かな...。
次回からいつも通りみーまりのお話です!!
| 猫爺さん | 14:32 | comments:11 | trackbacks:0 | TOP↑
なんだかじんわりと涙が出てきました。
お父様が三途の川の淵まで行っても、
対岸にいるたくさんのニャンコ達に
「まだ来るなー!」と追い返されるでしょうね。
そして、本当に渡る時が来たら、
みんな手を振ってお迎えしてくれるんだろうな~と想像しました。
なぜか、ニャンコたちみんな手を振ってダンスしている画です。(笑)
野良猫問題は本当に難しいですね。
正直、うちの実家は(野良にゃん+お隣さん猫に)大変な目に
あっているので、何が良いかを考えると答えが見つかりません。
けど、まずはそのコミュ二ティの意識改革と意識統一なのかな。
| commy | 2009/01/10 16:05 | URL | ≫ EDIT